熱電対

異種の金属導体の一端を電気的に接合し、この両端に温度差を与えると電流が発生します。これを熱起電力といい、規準接点を一定温度に保つことによって測温接点の温度を知る事が出来ます。この異種の金属導体を熱電対といいます。

 
 B(白金、ロジウム30%―白金、ロジウム6%)熱電対
 
 R(白金、ロジウム13%―白金)熱電対
 
 S(白金、ロジウム10%―白金)熱電対

 高温域(1,000℃〜1,700℃)に耐え、優れた安定性を持つ貴金属熱電対です。酸化性雰囲気では耐熱性・安定性に優れた精度をもつが還元性雰囲気・金属製ガスには極めて弱く直接使用は避けて下さい。
 なお、R―熱電対に関しては従来のP―R13%熱電対(JIS CI602-1974)と起電力が異りますので御使用のさいには特に注意を要します。



 
 K熱電対(C−A)

 +脚にCrを10%含むNi‐Cr合金(クロメル)、−脚にAL・Mnを含んだNi合金(アルメル)を用いた熱電対で、工業用として最も広く用いられ信頼性の高い熱電対です。起電力特性がほぼ直線に近く耐熱・耐食性が高いのが特徴です。



 
 E熱電対(Cr−C)

 +脚にK熱電対と同じNi-Cr合金(クロメル)、−脚にCu‐Ni合金(コンスタンタン)を用いた電熱対で、1974年からJISに加えられ、熱電対としては起電力特性が最も高いことが特徴です。逆に電気抵抗も最も高いため計器の選択に充分な注意が必要です。



 
 J熱電対(I−C)

 +脚に純Fe(鉄)、−脚にCu-Ni合金(コンスタンタン)を用いた熱電対で、還元性雰囲気中での使用に適しており、起電力特性がE熱電対についで高いことが特徴です。工業的にはK熱電対に次いで大量に使用されています。



 
 T熱電対(C−C)

 +脚に純Cu(銅)、−脚にCu-Ni合金(コンスタンタン)を用いた熱電対で、精度が高く電気抵抗が低いので、比較的低温度の測定に広く使用されています。

※E・J・Tいずれも−脚にCu-Ni合金(コンスタンタン)を使用していますが起電力特性の調整のため、それぞれ配合比が違いますので互換性がありません。ご注意下さい。



 
 特殊熱電対

 超高温用としてタングステン−タングステン・レニウム26%(W/Re26)、タングステン・レニウム5%−タングステン・レニウム26%(W/Re5−26)、タングステン・レニウム3%−タングステン・レニウム25%(W/Re3−25)、還元雰囲気用としてプラチネル、極低温用としてクロメル−金・鉄等も取扱っております。



 
 温度に対する許容差

種類
許容差(※1)の分類
クラス1
クラス2
クラス3
B 温度範囲
許容差


600℃以上800℃未満
±4℃
温度範囲
許容差

600℃以上1700℃未満
±0.0025・|t|
800℃以上1700℃未満
±0.005・|t|
旧階級※
0.5級
R,S 温度範囲
許容差
0℃以上100℃未満
±1℃
0℃以上+600℃未満
±1.5℃

温度範囲
許容差

600℃以上1600℃未満
±0.0025・|t|

旧階級※
0.25級
K 温度範囲
許容差
−40℃以上+375℃未満
±1.5℃
−40℃以上+333℃未満
±2.5℃
−167℃以上+40℃未満
±2.5℃
温度範囲
許容差
375℃以上1000℃未満
±0.004・|t|
333℃以上1200℃未満
0.0075・|t|
−200℃以上−167℃未満
0.015・|t|
旧階級※ 0.4級 0.75級 1.5級
温度範囲
許容差
−40℃以上+375℃未満
±1.5℃
−40℃以上+333℃未満
±2.5℃
−167℃以上+40℃未満
±2.5℃
温度範囲
許容差
375℃以上800℃未満
±0.004・|t|
333℃以上900℃未満
±0.0075・|t|
−200℃以上−167℃未満
±0.015・|t|
旧階級※ 0.4級 0.75級 1.5級
J 温度範囲
許容差
−40℃以上+375℃未満
±1.5℃
−40℃以上+333℃未満
±2.5℃

温度範囲
許容差
375℃以上750℃未満
±0.004・|t|
333℃以上750℃未満
±0.0075・|t|

旧階級※ 0.4級 0.75級
T 温度範囲
許容差
−40℃以上+125℃未満
±0.5℃
−40℃以上+133℃未満
±1℃
−67℃以上+40℃未満
±1℃
温度範囲
許容差
125℃以上350℃未満
±0.004・|t|
133℃以上350℃未満
±0.0075・|t|
−200℃以上−67℃未満
0.015・|t|
旧階級※ 0.4級 0.75級 1.5級

(※1) 許容差とは、熱起電力を規準熱起電力表によって換算した温度から測温接点の温度を引いた値の許される最大限度をいう。


 
 規準熱電対の電気対抗

0℃における規準熱電対の電気抵抗(Ro)
JIS C 1602-1981による 単位Ω/m
記号
旧記号(参考)
B
R
S
K
CA
E
CRC
J
IC
T
CC
線径mm
 
0.32
6.17
0.50
1.75 1.47 1.43
0.65
2.95 3.56 1.70 1.50
1.00
1.25 1.50 0.72 0.63
1.60
0.49 0.59 0.28 0.25
2.30
0.24 0.28 0.14
3.20
0.12 0.15 0.07


 
 熱電対素線の使用温度



 
 保護管

■金属保護管

材質
常用温度
最高使用温度
特性
普通鋼
800
800
耐酸性、酸化に弱く、還元に強い。
SuS-304
900
1,000
耐熱、耐食性に優れている。
SuS-316
900
1,000
Moを含み耐熱、耐酸、耐アルカリに優れている。
SuS-310S
950
1,050
Ni‐Crを多く含み、高温での酸化性に優れている。
サンドビックP4
1,050
1,125
27Cr鋼で、耐熱、耐蝕性に優れている。
インコネル600
1,180
1,250
高温での酸化、還元雰囲気に優れている。
カンタル‐A1
1,000
高温域での耐熱性良好。
ハステロイ‐C
1,000
1,100
高温域での酸化、還元雰囲気、塩素ガスに強い。
ハステロイ‐X
1,175
1,260
耐熱鋼、高温域での強度も大きい。
チタン
酸化250
還元1.000
低温域での耐食性良好、高温では酸化されやすい。
80Ni20Cr.
1,100
1,250
高温酸化雰囲気中で強度、耐食性良好、硫化雰囲気には不適当。

金属保護管が塩酸、硫酸等で侵される場合には弗素樹脂コーティング(3弗化・最高使用温度150℃・PFA・最高使用温度260℃)およびグラスコーティング(最高使用温度450℃)で表面処理された保護管を御使用下さい。尚、グラスコーティングは普通鋼のみにコーティングが可能です。

■非金属保護管

材質
常用温度
最高使用温度
型記号
特性
不透明石英管
透明石英管
1,000
1,100
QT
透明の方が耐熱性良好、急熱、急冷に強い。
再結晶アルミナ
1,600
1,800
PT‐0
PT‐1よりさらに優秀
JIS1種アルミナ
1,500
1,600
PT‐1
PT‐2より優れているが、急熱、急冷にやや弱い。
JIS2種アルミナ
1,400
1,500
PT‐2
熱ショック抵抗が良好。
シリコンカーバイト
1,500
1,700
SiC
熱伝導性、熱衝撃性良好。
シリコンナイトライド
1,550
1,750
SiN
上記性能にSi3N4を含み溶融アルミ用に適す。


 
 端子箱

    材質 端子板材質 保護管
適用外径
保護管側
ネヂ
補償導線
側ネヂ
端子板
極数
密閉型
(小)
アルミダイ
カスト
ベーク
磁器
13φ迄
PF1/4メス
PF1/4
2P及
3P
密閉型
(大)
22φ迄
PF1/2メス
PF1/2
2P
3P
4P

(大)二方口
4P
6P
開放型
(小)
13φ迄
2P

(大)
22φ迄
2P
備考 密閉型はK型、開放型はT型とも称します。


 
 熱電対標準仕様

 ( 1 ) ストレート型
 ( 2 ) 固定ニップル型
 ( 3 ) 固定フランジ型
 ( 4 ) 摺動フランジ型
 ( 5 ) L型
 ( 6 ) 二重保護管型

 ( 7 ) 非金属保護管型
 ( 8 ) 非金属保護管固定フランジ型